菜果図録
古事記にも登場する健康食材 ニラ

2017年3月22日UP
 春本番の3月から4月にかけて、ニラが一年でもっとも美味しくなるのをご存じですか。一年を通じて店頭に並ぶニラですが、早春のニラは柔らかく、香りが強いといわれています。ニラはネギ科に属する野菜で、中国やインドが原産といわれ、おなじみの葉ニラの他、日光を当てないようにして軟白栽培した黄ニラ、茎の先につぼみがついた花ニラがあります。

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 日本へは弥生時代に伝来したという説があるほど、古くから親しまれてきた野菜で、古事記には「加美良(カミラ)」の名で登場します。これが転じてニラと呼ばれるようになったと伝えられています。特有の香りはニンニクなどと同じ硫黄化合物の一種であるアリシンという成分によるもので、仏教の世界では、匂いが強いニラ、ニンニク、らっきょう、ねぎ、あさつきを五葷(ごくん)と呼び、禅寺などでは食べることが禁じられていたそうです。この香り成分アリシンは、疲労回復に役立つビタミンB1の吸収力アップ、血流促進効果、すぐれた殺菌作用など、様々な働きで注目されています。また、強い抗酸化力で知られるベータカロテン、体内の余分な塩分の排出を助けるカリウム、腸内環境を整えてくれる食物繊維なども豊富に含まれています。
 選ぶ際は、葉の色が濃く、ピンと葉先まで張りがあるものを。葉がしおれていたり、切り口が変色しているものは避けましょう。保存する場合は、新聞紙で包んでポリ袋に入れ、冷蔵庫の野菜室に立てて冷蔵すれば、2~3日はOKです。食べ切れないときは、洗って水気をよく拭き取り、使いやすい長さに切り、密封できるポリ袋に入れ、できるだけ空気を抜いて冷凍保存を。調理の際は、冷凍したまま使えるので、とても便利です。

大人のニラだれ冷奴

大人のニラだれ冷奴

 ニラの風味を生かした、ピリ辛たれ。冷奴の他、鶏のから揚げやサラダにかけても美味です。お子さんが食べる際は、加熱時間を長めにして辛みを抑え、ラー油は抜いて作ってくださいね。

作り方(2個分)
ニラは洗ってキッチンペーパーで水気をよく拭き取り、1センチ幅に刻み、しょうゆ大さじ2、みりん大さじ1、酢大さじ1、白すりごま大さじ1、ごま油小さじ1、ラー油少々を加えて混ぜ、ふんわりとラップをかけ、電子レンジ(600w)で30秒ほど加熱し、器に盛った豆腐にかけます。

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written by

堀 基子

/文・写真

野菜ソムリエ上級プロ。J Veganist。冷凍生活アドバイザー。アスリートフードマイスター3級。ベジフルビューティーセルフアドバイザー。ジュニア青果物ブランディングマイスター。アンチエイジング・プランナー。受験フードマイスター。第6回・第8回野菜ソムリエアワード銀賞受賞。